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山口 徹治; 山田 文香; 根岸 久美*; 星野 清一; 向井 雅之; 田中 忠夫; 中山 真一
Physics and Chemistry of the Earth, 33(Suppl.1), p.S285 - S294, 2008/00
ベントナイトとセメントが共存する放射性廃棄物処分場の人工バリアシステムの長期的な変質を評価することは安全評価上重要である。これまでに実施してきた研究成果に基づく評価手法整備をさらに進めるため、本研究ではまず、セメント系材料の変質で生成する可能性のある鉱物を既往の知見から選定し、二次鉱物生成モデルを作成した。セメント硬化体の変質試験を実施して、このモデルを検証した。また、既に開発していたベントナイトの透水係数モデルに、温度に依存する粘性項を付加し、この新しいモデルを原環センターが報告していた80Cにおける透水試験の推移と照合することで検証した。さらにこれらのモデルを用いて、セメントとベントナイトが共存する人工バリアシステムの10,000年間に渡る変質を解析し、その計算結果を詳細に検討することにより、温度が変質挙動に強く影響すること、変質はベントナイト中の主要な鉱物の溶解速度が遅いことや、拡散でしか物質が移行しないことにより制限されること、はじめの1,000年間に比べてその後は変質速度が有意に遅くなること、地下水中の塩濃度は変質挙動に複雑な影響を与えることなどを見いだした。
佐藤 治夫
Physics and Chemistry of the Earth, 33(Suppl.1), p.S538 - S543, 2008/00
地層処分において使用される人工バリア材及び埋め戻し材を構成する主要構成粘土鉱物であるスメクタイトに着目し、その表面での水の熱力学データに基づいてベントナイトの膨潤圧を求めた。スメクタイト密度0.6-0.9Mg/mの範囲において、含水比(0-83%)をパラメータにスメクタイト表面の水の活量と相対部分モルギブスの自由エネルギー(dG)を測定した。スメクタイトは、あらかじめ、層間イオンをNaに置換させるとともに、可溶性塩を除去し、精製したものを用いた。活量とdGは含水比の減少に伴い低下し、過去に報告されたクニピアF(ほぼ100%がスメクタイト)と同様な傾向であった。自由水と含水したスメクタイト間での平衡状態における水の化学ポテンシャルバランスの差(dG)に基づいて膨潤圧を計算し、さまざまな種類のベントナイトや種々の条件で取得された実測値と比較した結果、計算値は実測値と一致した。このことは、ベントナイト中のスメクタイト含有率や珪砂混合率が既知の場合、スメクタイト表面での水の熱力学データに基づいて、任意のベントナイトや乾燥密度に対する膨潤圧を定量的に求めることができることを示している。
田中 真悟*; 野田 菜摘子*; 東原 知広*; 佐藤 正知*; 小崎 完*; 佐藤 治夫; 畑中 耕一郎
Physics and Chemistry of the Earth, 33(Suppl.1), p.S163 - S168, 2008/00
圧縮ベントナイト中の物質移行経路について検討するため、ベントナイトの主成分であるモンモリロナイト中の水の移行挙動について調べた。Oを水のトレーサとし、モンモリロナイトの乾燥密度1.0, 1.2, 1.4Mg/mに対して拡散実験と電気浸透実験を行った。拡散実験からは見掛けの拡散係数を、電気浸透実験からは移流速度と水理学的分散係数を決定するとともに、これまでに報告されているHe, Na, Clのデータと比較することにより移行経路について検討した。各イオンの濃度分布とピーク位置の比較から、分散係数はHe, HO, Cl, Naの順に減少し、この違いは化学種によって移行経路が異なるとともに、移行経路の違いによって分散係数が異なったことによると考えられた。
棚井 憲治; 松本 一浩*
Proceedings of 3rd International Meeting on Clays in Natural and Engineered Barriers for Radioactive Waste Confinement, p.57 - 64, 2008/00
高レベル放射性廃棄物の地層処分における緩衝材の候補材料であるベントナイトは、吸水により膨潤する性質を有し、この膨潤性によって緩衝材と周辺岩盤との隙間や周辺岩盤の割れ目などを充填する自己シール性が期待されている。一方で、この膨潤性によってベントナイトの割れ目への侵入が止まらずに緩衝材の密度が低下し、緩衝材自体の諸機能並びに人工バリアの構造力学的安定性に影響を及ぼすことが懸念される。また、割れ目へ侵入したベントナイトゲルが地下水の流れによって浸食される。このように岩盤の割れ目への侵入と割れ目へ侵入したベントナイトゲルの侵食を定量的に把握し、緩衝材の長期的な性能を評価する必要がある。本研究では、非破壊測定手法の一つであるX線CTを用いて亀裂内に侵入したベントナイトの密度分布の測定を行い、本手法の適用性について検討を行った。
國丸 貴紀; 山本 肇*
no journal, ,
北海道幌延町で実施している幌延深地層研究計画では、地表からの調査として空中物理探査,地上物理探査,地質調査、及びボーリング調査などを行ってきた。それらの調査では、地質構造の把握や、水質の分析などを行っている。本報告では、地上からの調査段階において行った調査結果をもとに、地下水の水質形成や3次元分布に関する概念モデルを構築し、数値解析を行った結果をもとに、モデル化手法を構築した概要を示す。
操上 広志; 竹内 竜史; 藪内 聡
no journal, ,
代表要素(REV)の考え方は水理調査においても重要な要素である。なぜなら、代表要素は地質環境モデルや地下水流動解析のスケールと強い相関があるためである。例えば、広域スケールの地下水流動解析では地下水流動の方向や流量を評価することができるが、局所的な現象である、実流速に基づく核種移行への直接の反映には適していない。この本発表では、幌延深地層研究計画で実施した深層ボーリング孔を利用した複数の手法の水理調査により得られた透水係数のスケール効果、不均質性、間隙率依存性について検討した。
佐原 史浩*; 村上 武志*; 小林 一三*; 三原 守弘; 大井 貴夫
no journal, ,
TRU廃棄物処分における人工バリアの長期的な力学及び水理学的な挙動を評価するための評価システムを開発した。評価システムには、セメント系材料の影響により、緩衝材(ベントナイト)の特性が変化することを考慮したモデルを組み込んだ。緩衝材の変形モデルとして、粘弾塑性モデルが組み込まれており、その変質に伴う膨潤挙動の変化も考慮した人工バリアの長期評価を実施した。緩衝材の変質を考慮しても透水係数が緩衝材の性能目標値10m/sとなることが示された。